MUROインタビュー・Resident Advisor
Resident Advisor
オンライン・エレクトロニックミュージック・マガジンです
凄い内容です。ぜひ。
「PCになってからは、モデルさんとか、わりと誰でもDJができるようになってしまって。80年代や90年代の頃とはやっぱり別ものだなぁって凄く感じますね」
「93年にニューヨークに行き始めたんですけど、その頃、向こうのDJはあちこちでミックステープを売ってたんですよ。地下鉄の入り口とか。一週間に一回新しいのが出てたりして。Ron Gとか、Brucie Bのテープはアップタウンでしか買えないとか、Black MoonのEvil Deeのテープはブルックリンに行かないと買えないとか。だからニューヨークをあちこち回って、色んな人のミックスを買って勉強するのが大好きでした。Kid Capriとか、Biz Markieとかのテープは当時から日本にちょっと入って来ていて、わりと手に入り易かったから良く聴いてましたね。あと当時の『Yo! MTV Raps』とか『Rap City』とかの番組をビデオにダビングして売ってるところが渋谷にあって。ライブを隠し撮りしたブートレグのビデオとか。そういうビデオを買うと、向こうのレコード屋さんとかでKid CapriがDJしてる映像とか入ってて、興奮しましたね。Capriはイタリア系の人なんですけど、ああやって本場で活躍してるのが凄く格好良くて。だからCapriは昔から僕の英雄ですね」
「Krushには“人と同じことをやっていてもしょうがない”って常に言われていて。だから初めの頃から、人と違うことをやろうって考えてましたね。人が聴いていない所を掘ったり、人が行ってないレコード屋さんに行ったりして、新しいものを見つけて。それは今も変わらないですね」
2枚使いやスクラッチなどパフォーマンス性の高いプレイはヒップホップ出身のDJの魅力のひとつであることは間違いない。しかし、客が見ていて楽しめるプレイを心がけていたのは、30代の中盤ぐらいまでだったと氏は言う。「Harlemのレギュラーを辞めたぐらいからはもう意識してないですね。純粋に自分の好きな音をひたすら選曲するっていうほうに比重を置いてます。特にNoriさんとかと一緒にやり始めてからは」
Paradise Garageの洗礼を受け、Larry Levan等と共演を果たしたレジェンドであるDJ Noriからは、DJの精神などを学んでいると語る。「一曲一曲の重みとか大切さを意識するようになりましたね。Noriさんはリアルタイムでニューヨークのディスコとか、David Mancusoのサウンド・システムの在り方とかを見て来た人だし、一緒にやるとニューヨークの方とDJしてる感覚ですね。場の雰囲気を見ながら、曲を選んでかけていって。曲が終わって、客の拍手の加減で次の曲の入れるタイミングを自分で決める、とか。それまで僕の中にはなかった、真逆の考え方なんですよね」
MuroはTwigyらとのグループ、Microphone Pager名義やソロ名義でラッパー/プロデューサーとして作品をリリースしていった。
だからCapriは昔から僕の英雄ですね。